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ひつじのさんか
天国の愛する貴女へ。
こんにちは。そちらの世界はもう慣れましたか?
あの痛ましい事件が起こってから一ヶ月。
犯人は結局、貴女の遺体すら返してはくれませんでした。
この一ヶ月、僕はといえばほとんど放心状態で、
仕事もろくに手につかず、ひどいものでした。
会社の人もそんな事情を察してくれたようで、
しばらくの間、休みをいただけることになりました。
…こんな姿、貴女はどう思っているだろう。
きっと笑われているでしょう。僕はまだ弱いままです。
今日、僕がここに来たのは、貴女のお墓を建てるため。
遺体がないものなので、何処に建てるか迷いましたが、
生前、貴女とよく来ていたこの河川敷に建てようと思います。
小さい頃から、貴女とはよく遊んでいましたね。
春になるとあの辺りに咲く金盞花の花を、貴女が好きだと言っていたのを思い出します。
貴女と一緒に居られた日々は本当に幸せでした。
僕はもう迷いません。強く生きていきます。
さようなら。貴女のことが本当に大好きでした。
貴女のことを本当に愛していました。
さようなら。
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