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海辺の猫

 

…今から百年前、この街はもっともっと活気に溢れていて、人々で賑わっていた。

地盤沈下によってこの島は沈んでいくらしい。

 

百年前、あなたと愛し合って、あなたとともに過ごした日々が記憶に蘇ってくる。

人々はみんなこの街から消えてしまって、

あなたも居なくなってしまった。

 

…いつの間にか、私は死ねない体になっていた。

この島の神社には特殊な力があるとは聞いてたけど、

まさか私が言ったことが本当になるなんて…。

 

気づけばこの島の外から、私に会いに来る人間が増えた。

向こうの街では、「柚香島には不老不死の猫がいる」なんて噂になっているらしい。

 

でも、それももう終わり。

私決めたの。彼のところに逢いに行く。

 

もう何十年も何百年も、孤独のままこの島で生きるのはもう辛いの。

 

私もこの海に沈もうと思うわ。

さようなら。今からあなたに逢いに行くわ。

 

 

 

 

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